冷凍庫のメモワール

アイスパリパリ委員会

『ソウルフル・ワールド』を観ました。

内容話してます。なんかパジャマの袖ベショベショになるぐらい泣いた。
あとテリーは最高。

ソウルフル・ワールド

ピクサーのアニメーション映画。
そして劇場公開の予定がなんやかんやして公開できずDisney+で独占配信!ってなってた映画でもある。

あらすじを見てすごい気になってた映画だったんですけど、あらすじの時点で私にクリティカルヒット入りそうな確信があってなかなか見られなかったんですね。

Disney+の作品詳細にあるあらすじがこれ。

生まれる前の世界・・・そこは新しいソウル〈魂〉が地上へと行く前、どんな個性や才能、興味を持つのか、決める場所。
何百年も暮らす“こじらせ”ソウル・22番。彼女は自分のやりたいことや好きなことを見つけられず、「人間になりたくない」とずっと思っていた。
そんなある日、ニューヨークでジャズ・ピアニストを夢見る音楽教師・ジョーがソウルの世界に迷い込む。
元の世界に戻り夢を叶えたいジョーと、彼に協力することになった22番。
奇跡の大冒険を繰り広げる二人が、最後に見つけた〈人生のきらめき〉とは…?

この時点でのダメージが大きい……。
「人間になりたくない」だとか「人生のきらめき」だとかのワードで精神的にきつかったので見送ってたのですが、たくさん寝たので今なら観られるかもなと思って観ることが出来ました。

この先ネタバレ含む感想。
ところで今、あらすじを持ってこようと思って『ソウルフル・ワールド』のWikipedia見たらストーリーが全部書いてあるあらすじが出てきて驚いてしまったんだが……!?

 

映像が綺麗

最近の映像作品は年々ガンガン映像が綺麗になっていってるな〜とは思うのですが、この映画は映像が綺麗じゃないと説得力が出ない映画だと思いました。

終盤でジョーがピアノを演奏しながら22の見たものや自分の過去の景色を思い出していくシーンとか。
ここすごい好き。私は観ながら泣いてた。

映像はもちろん最初から綺麗なんですけど、映画のシーンのほとんどが現代なので、描かれているものは私だって普段から見てるような景色なんですよ。アニメーションは綺麗なんですけど、うわあ綺麗!っていうのとはまた違うじゃないですか、技術を褒める感じというか……。

でも終盤のシーンでアニメーションの技術とかそういうもの以上に綺麗だ〜になった。

あの追憶シーン、私にとっては本当によくある景色、理解できる経験だったんですけど、そうやって全然普通の景色をちゃんと素敵なものだって魅せる映像だったから良かったなと思った。

音楽も場面場面にしっかり合ってて好き。
映像と音がセットになるというか、音楽が場面説明の役割をしっかりするから独立しないというか。

私はイラスト描いたり見たりが趣味だからどうしても絵の方に感覚が傾きやすいんだけど、音が合うようにして作られていたからこそ感情がしっかり動かされたと感じる……。

 

ヴィランがいない

ヴィラン、居ない映画だったな!?
正直に言えば主人公が一番悪いよ。

ソウルの世界(生まれる前、死んだ後)が完全に管理された世界でウワ……になるのはあるんだけど、ここに関しては「生きることは素敵なことだよ」って伝えるためにこういう世界でなければならなかったろうな、というのがある気がするから、まあ。
色数が少ないのも、そういうことだと思うし。
この作品で死後の世界やら生まれる前の世界をウルトラハッピーワールドにしちゃうと「やっぱり生きるのって苦痛じゃん!」になっちゃいますからね。
まあ私は管理してくれ〜……と思っているので生きることは苦痛なんですけど……。

あとテリーは仕事してるだけですからね!
元はと言えば、ジョーが浮かれて不注意でマンホールに落ちて死んだのに、死を受け入れられずに逃げ出したのが原因なので……。
(あらすじだと迷い込んだってなっていますがあれ確実に普通に死ですよね。)

 

ジョー・ガードナー

さっきの話に戻ると個人的には登場人物の中でジョーが一番悪いんですけど、ジョーが己の不注意で死んだにも関わらず死から逃げ出したのが発端であり、その上これから生まれてくる存在から生きるための通行証を奪うという発想になるのが怖いよ……。
確かにあの変な世界を知ったばかりで、生まれてくる前の存在に何か感情を抱くのは難しいのかもしれないけど、だからってそんな……。

あとやっと体に戻れる夢が叶うっていう状況だったからといっても22が初めて見つけた楽しさを否定するような言葉を言ったのもまずかったな。
22はきらめきが見つけられずに周りのソウルに置いて行かれていじけて、生きることなんて最悪だしつまらないし生まれなくてもいいってずっと思っていたけど、それでも生きたいと思える何かが自分にもあればって思ってただろうし、その何千年分の想いがあるせいで一度きりかもしれないチャンス(ジョーの体)にしがみつくし、これはこれで迷惑ではあるんだけど、人生を初めて体験した存在に何十年も人生を生きているジョーがああやって言うのキツかったこのシーン。

「生活の一部だ」がキツイな本当に。

お母さんに会いにいく前の地下鉄のシーンで、ジョーの認識やら記憶やらを読み取れるのかな?みたいな描写があったから、確かにジョーの体だからこの世で楽しいことを感じられるのかなと思わされてしまうし、どっちの言い分も状況もわかるけどひたすらに悲しかった。

逆に言えば、「俺の体だからきらめきを見つけられた」っていうのはジョーの中にも22と同じようにこの瞬間瞬間を楽しめる気持ちがあるってことだったわけだし、なんか何もかもがなんか……悲しい……。


ドロシアと共演した後の地下鉄のシーン好き過ぎる。
この話、ジョーが贅沢なやつみたいに思われちゃうのかな。
でも本人の意識とかの話だから……夢がメインテーマでは無いから……。

ちょっと散々ジョーについて悪く言っちゃったけど普通の現代人だと思うよ。
普通の人だからこそ悪いところが目立つけど、教え子が成功した知らせを受けて嫉妬とかせずに喜んであげられるあたり良い先生だと思う。

音楽の楽しさを生徒に教えることを楽しいと感じてたと思うし、大人になってからも景色を楽しんだり食事を楽しんだりしてたし、あと両親のことも大好きでしょ。

ちょっと疲れちゃっただけなんだよ。
あまり悪く言わないであげてほしい(悪く言ったのは私)。

リサによろしく。

 

ソウルの世界

ジェリーたちが可愛すぎて、あんな情報を削ぎ取られた線の集まりみたいな謎物体なのに見るからに可愛い物体すごい良かった。可愛い。大好き。

みんなジェリーなのにジェリーがジェリーとコミュニケーションとるときちゃんとジェリーのこと名前で呼ぶの大好き。

死者の数が合わない!ってなった時にテリーがAから全て洗いざらい調べる方法を取るの、まさかの力技で笑っちゃったな。
うーん、分かる。
ソウルの世界は時間とか関係ないらしいのでそれなら確かに一から調べるのが早いのかも。

ところで今まで死から逃れようとした者は一人も居なかったんだろうか。何世紀も勘定がズレたことがないというのは、みんなどんな死でも受け入れてるってことなんだろうか。

ニューヨークを線状になって渡ってくテリー可愛くて良かった。

テリーのミスで死の淵を彷徨ったポールは気の毒だったし、その前の床屋でのこともあってなんだかんだポールがこの映画内で一番ダメージが多そうだからポールは元気に生きてほしい。
ただあのシーンのテリーは本当に大好き。
テリー、普通に普通の会社員っぽくて可愛い。入社2、3年ぐらいの。
ジェリーたちもテリーのこと扱い方を心得ていると言うか、わりと雑にあしらってる感じしてたのもなんか、会社っぽいな(それは偏見!)。
君は最高👍で満足して帰っていくテリー好き過ぎる。

 

ソウルの世界に生まれる前のソウル以外も居たの面白かった。
会社員のソウルが迷子になってたから救済したら躁状態になって全部ぶち壊してったシーン見た時「わかる」気持ちと「周りの人の気持ちを考えてくれ……!」って気持ちで真っ青になっちゃった。
他人のデスクを荒らすんじゃない……!
あれはやりすぎなので基本的には己の人生を見失ってソウルが迷子になる前にちゃんと今を見つめ直そうねってことね!
そして職場は改善しよう。
鬱状態の時よりも、鬱状態から躁状態に切り替わった時が一番取り返しのつかないことするってよく言うもんね。

ユーセミナー

生まれる前から個性が決められてるっていう設定だけど、通行証に変わった時点であの個性があの個性のまま永遠に備わっているのかっていうのはわからない仕様なのはわりと良いんじゃないかと思った、なんとなく。

きらめきが生きる意味とか人生の目的とかじゃなかったの本当に嬉しい。
(地上では、獣医を目指していたけど床屋である今に自信持って生きているデズや、色んなものを意味ないとか嫌いとか言ってもトロンボーンの演奏だけは好きで辞めることができないコニーが描かれたのも嬉しかった。)

でもきらめきを見つける工程で今までに22みたいなのが大量に出なかったのが奇跡だと思うのでジェリーたちが今回の件で学んで良かったな。

22も「生まれるに値しないと思ってた」を抱えて変化の無い時間を良しとしていたの、私も理解出来るしそういう人間は昔より多いんじゃないのかなと思ってるので、22が人生の目的がなくても生まれていいって言ってもらえたの本当によかった。

22は生まれる前のソウルって設定だけど、もうすでに生まれている我々にも通じるというか、必要なのは生きる覚悟なんだな。

なんかもっと早いうちにこの映画観たかったな、中学生のとき進路学習の時間が苦痛過ぎて人格崩壊したので……。

そういえば22はメンターに否定されたことも引きずって自己否定を繰り返してたっぽいけど、序盤に登場したメンターたちがみんな有名な人たちだったから、なんとなく私はモニョ……とした。原因はよくわからないけど。
故人が好き勝手使われるのは物語や創作では全然あることだけどなんかこの映画では少し引っ掛かっちゃったのが、私の価値観が昔と変わっただけなのか、この映画の演出に対してなのか、わからないからまあ、それはいいか……。

ジェリーが「皆 同じだ 目的だの生きる意味だのと 単純だ」って突き放す感じなの、人間のこと管理する側の存在感強めてくるの大好き。
管理する側といってもおそらく管理しているのは数(個性を振り分けたりする程度。これも何というか相対評価的というか、この個性は人類に何%ぐらい欲しいな〜って決めてるんじゃ無いかな?いろんな人間がいたほうが良い的な)ぐらいで、きらめきを与える役目をメンターに任せっきりにしているのもポイント高い。
人間は人間同士で勝手に成長していくべきでそこに我々が手を加えるつもりはないみたいなことじゃない?
生と死以外のセッティングはするつもり無いのにメンターとソウルのマッチングは楽しんだり、そもそもユーセミナーの講習の映像からして、神とかそういうものとは全く違う存在なの良すぎる。
「誕生のトラウマを忘れるのは宇宙の恵み」とか特にオヮ……となった。

フィクションに出てくる神様や上位存在の類はわりと人間ちゃんのこと大好きでちょっかい出しがちだから、時々こういうの摂取するとニコニコになっちゃうな。

 

人生の目的や生きる意味について考え過ぎたり囚われたりして疲れた人間、拗らせた人間、きらめきを大事にしていこうな……。

そして輝くウルトラソウル!