冷凍庫のメモワール

アイスパリパリ委員会

『レギオン』S3まで観た感想

『レギオン』(テレビドラマ)S1~S3までのネタバレがあります!

ネタバレ避けた感想の方でも書いたんだけど、好きな要素が多いのでだいぶ好きなドラマシリーズだった。

ただ登場人物のこと考えるとどうしても空しさは残っているのでそういう話もする。

 

デヴィッド・ハラー

愛は救われたがデヴィッドは救われてないと思う……。 
最終回のその先で救われるんだと思うから正確には「救われなかった」という感想。

ただでさえ元々精神不安定で限界だし養子だったことも発覚するし、

「病気のせいで幻聴が聞こえたり幻覚が見えたりしてる」
「あなたは病気ではなく、特殊な力を持っている」
「特殊な力を持ちながら、凶悪な怪物に寄生されている」
「あなたには特殊な力があり、病気もある」
「治療を受けないなら殺す」

とS1~S2で全肯定されたり全否定されたりを繰り返し限界突破しS3ですべてをやり直そうとしたデヴィッドがを「俺は善人だ 愛されていい」を肯定される存在になれなかったこと少し悲しくなっちゃったよ……。

あの状態を肯定されるべきとは当然思わないけど、どうすれば『レギオン』で描かれたデヴィッド・ハラーの今までの人生を救えましたか……!?
「現在」で救いたかったです。

 

S3第2話でシドに
「愛されていいのは認める」
「大事なのはあなたの人間性よ」
と言われた時点でもう確実に終わりじゃん!になっちゃった。

デヴィッドがシドにしたことは酷いし、それ以前にもシドは何度も裏切られたと感じていただろうから、シドがよりを戻そうとしなかったところは嫌いじゃないです。
S2第8話でシドはクラークさんから「きみがデヴィッドを酷く傷つけることがあれば彼は世界を壊すかも」と言われていて、私はそれを見て「そんなご機嫌取るみたいに愛を強要されるようなのは嫌でしょ……」とも思ったからかもしれない。
それにシドが戦い続けてくれたのはデヴィッドを想ってのことだったのは事実だし、愛が消えたわけではないのは確かなんだけど…………。

正直サマーランド着いたあたりからすでにシドとデヴィッドは終わってたと思う。S1第3話吹き替え版でデヴィッドが言った「どうだっていいんだよエイミー以外は」の台詞でシド映った時にもうこの二人続かなくない……?になっちゃってた。
デヴィッドはずっと自分で手一杯なのに外の問題が多すぎるので……。
精神病棟にいたままが一番傷つかずに済んだのかもなんて言いたくはないけどどうしても頭の片隅をよぎる。

S2第8話でシドが言ってたけど精神病棟でのころは確かにロマンチックだし寄り添ってたんだよな……。
あれ本当に美しい思い出過ぎる。
手を繋げないからタオルみたいなのの両端を握ってるシーン好き。

 

S2第4話でシドが言った「愛は私たちを救えない 私たちが救わなきゃいけないもの 痛みがそのための力をくれる 私たちの傷や怒りや絶望は鎧よ」が個人的に好き(愛が救う話の方が世に多い気がしていたため新鮮だった。)(そもそもあの第4話が孤独とかの話じゃなかったのがすごい好きだった。)なのですが、S2第10話でデヴィッドが「愛は救わなきゃいけないもの 痛みとか傷とかお前にされたことが俺の鎧なんだ」って言いながらオリバーを拷問してるの、ちょっと待て!になった。
その鎧、トゲだらけで突進して相手をベキョベキョにするタイプの鎧じゃない……?
しかも鎧の内側もグチャグチャになるタイプの鎧じゃん……。

 

あと私はS3第1話でファルークが言った「どんな愛もただ消えてしまいはしない 同じ強さの別の感情へと換えられるに過ぎない」が好きなんですけど、これ考えるとデヴィッドから他人への愛の描写ってかなり弱くない?になってただひたすら空しくなってしまうんだよな。
愛されたいとは常に願ってましたけど。

しいて言うなら一番強かった彼の自己愛は……。

 

アマール・ファルーク

あなたが愛を得るんだ!!??

まさしく愛に救われたキャラだけど、長年デヴィッドに寄生したおかげでファルークは愛や他の感情を知り、デヴィッドは長年愛を求めて迷走し続けたのあまりにも悲しすぎる。

愛を知ったというよりも、デヴィッドに向けてた別の感情がそのまま愛になったのかもしれないな……。

だってS1見返すとデヴィッドに執着はしてるけど普通にやってること最悪だし……。
S1でウキウキ悪逆をやりS2第10話でシドを揺さぶっておきながらS2第11話ではデヴィッドに「優しかったのに復讐に取り憑かれた」って言ってるの、「あれ!?こうなった原因のいくつかも、復讐の先もあなたなはずですが……!?」になってしまった。

S1で悪友としての面が強かったのがS2第2話で本来の姿で対面して以降突然父親面をしだした人という印象。
レスリング始めたときにはすでに友好的(友好的か?)だったしな……。

もちろん「S1でデヴィッドにやったことが最悪だからS1時点で愛は無かった」とは断言できないです。

愛が無くても優しくすることは出来るし、愛が在っても傷つけることは出来ますし……。
あとデヴィッドの強大な力を知って世界を一緒に支配したがってたのは本心だと思う。

ただS1第6話でレニー先生が愛について「脳の信号」と語った上で「一緒に世界を支配する気がないなら肉体だけよこせ」をやってるので、S3第8話での「32年間デヴィッドの見るものを見て感じるものを感じた」を聞いても「何らかの感情が愛になったとしても、その愛を自覚したのはデヴィッドと切り離されてからでは?」と思ってしまうんですよね。
産まれたときから一緒なのに愛を知ったのここ数年の話じゃん!
2000年以上生きてるとか言ってドヤ顔で愛を語るんじゃない!(S3第1話)

 

デヴィッドと切り離されてからだとしてもまだS2第10話の件があるのでもう少し考えます。

置いていく男と置いて行かれる女をデヴィッドとシド、オリバーとメラニー、(あとケリーが未遂)で何度もやったうえでS2でメラニーが愛と男女の話をずっとしているの、この時点では私はこの物語を愛の話だと思ってなった(善悪の話になると思ってた)から「世界が大変なのに男女の話にすり替えて変に共感を得ようとしてる場合じゃないだろ……!」になってたけどS2第10話がファルークだと知ると「まあここにつけ込むのが一番楽なんだろうなあ……」と思う。

しかしそうなるとS2第10話とS2第11話でのファルークの言動の差でまだ引っかかりがあり、ファルークに変化が起きてたタイミングが本当にわからない。

精神と肉体がそろったから?
愛が「脳の信号」なら精神が脳と繋がって初めて得られるものなんですか?

どうしても「愛を脳の信号」とすることの方が捻くれてるように思われがちなので「精神に宿った愛は脳が無ければ理解できない」とはあまり考えたことなかったから新鮮だな……。

これ考えると、精神を操作しアストラル界で愛を育み現実でシドと上手く行かなかったデヴィッドにもなんとなく思うところが出てくる。

逆にS2第11話以降のファルークについて嫌な捉え方をすると「望みが全部手に入ったから愛に気を回す余裕が出来た」ようにも見えるので、愛を脳の信号だと考える方が夢がありますね。

私はファルークのこと愛に救われたヴィランだと思いたいんだよ……。

しかしやはり「2000年以上生きてる」とか言ってドヤ顔で愛だか宇宙の法則だかを語っていい人物ではない。

 

ヴィランの結末としては好きだけど、ファルークを倒した(倒したわけではない)のは未来で様々なものを学んだファルークだし、ヴィランとヒーローの枠組みからは大きく外れた終わりを迎えたなあと思います。
(あと『レギオン』で一番ヒーローみを感じるのはシド。)

作中でヴィランとヒーローという単語を出しながら、ファルークを仲間に迎えてデヴィッドを追う構図になってたから、ヴィランとして扱われたデヴィッドがどう救われるのかと思ってたけど救ったのも救われたのもファルークだったので驚きました。

でもファルークは今まで散々好き放題して自分が欲してた身体も取り戻して全部叶った上で愛も知ったんじゃんズル!!になってしまう。

取り返しのつかないことをしたヴィランでも様々なものを学んで許されることが出来たなら、30数年苦しんできたデヴィッドが「両親に愛された人生をおくることでしか救われない」という物語の結末に辿り着くのはかなり酷だよ、酷か?デヴィッドが望んでいたことではある……。それにファルークの救われ方と構造的には同じだな……。それに許されるためにはまず自分が許すことから……。と考えるたびぐらついてしまう。

ファルークを倒すのではなくファルークを救うことで未来のデヴィッドを救うのは時系列的には理にかなってると思う。
根本を解決するという意味で。
ファルークとチャールズが対話するシーンはめちゃめちゃ好き。

ただ私の見てきたデヴィッドの人生は救われず、私の好きな登場人物たちの人生の何もかもが無かったことになったので「デヴィッドを救うのは実質不可能だったってことじゃん……」っていう絶望感はあったな……。

 

ケリー・ラウダーミルク

何もかも全部好き。
登場人物が死亡ラッシュしてたなか最後まで二人で戦い抜きラストもこの二人に関してはだいぶハッピーエンド感あった。

天才科学者と肉体派戦闘狂のコンビ良すぎる。

ケリー(女性)が食事や排泄すらせずにスポーツやら戦闘やらばっかやってきたっぽいのもすごい良い。食事教わってるシーンが好き過ぎる。

S1で別行動したり瀕死になったりS2で肉体の主導権ひっくり返ったりで感情めちゃめちゃになっちゃった。
設定上の醍醐味というか、見たいもの全部やってくれたな……って感じする。

一番好きなのS2第9話。

「僕は死ぬよ いつかね」「きみも孤独になる」
って言ったケリー(男性)に
「あなたは死なない」「そのまえに死ってやつの心臓を2回刺してやる」

ってケリー(女性)が返すのががウワ~~~~良すぎる~~~なった。良すぎ……。

「あなたは死なない」って聞いた瞬間に「これ絶対『あなたは死なないわ私が守るもの』だろこれ」って思ってたらケリー(女性)の良いところ全部乗ったセリフ出てきてこの二人もう何があっても大丈夫だって思えて感動しちゃった。

この上でS3第8話良すぎ……!!になった。
これこの二人ならでこその戦いじゃん……!って熱くなっちゃいました。

頭脳と肉体それぞれの分野で戦ってきた二人が「時間」という概念相手にひとつになってケリーだからこそ出来る戦いをする展開好き過ぎるじゃん……!

それで歳を取ったケリー(女性)が「お兄さんって呼ぼっか」って言うの良かった。
ケリー(女性)は「食べたり寝たり用を足したりシャワーを浴びたりすることはつまらない」として体を動かすとき以外は出てこず、歳の差は開く一方できょうだいや友達とも違う存在だったわけだし最後ああやって揃ったのちょっと好き。

 

クラーク

好きすぎ……!

頬にペンが刺さった瞬間から好き。
(好きになるポイントではないだろ)

誤解を招く言い方しか出来ない気がして説明が難しい。

そのあとのプールでの態度が本当に好きなんだけど、みんな吹っ飛んじゃったからもう出てこないもんだと思っていたらS1第8話で半身火傷を負って再登場したの大喜びしちゃった。

「今後はデスクワークをおすすめします」と言われて「いいね ただし場所は現場だ」が特に最高!になった。

大火傷負って以降おしゃれステッキでスーツも着替えてたの良かったですが、片目にカメラ仕込まれて敵地にほぼ単独で投げ込まれるクラークさん好きだしなんか長生きしたけど妙に散々な目に遭ってるイメージ強いクラークさん好き過ぎる。

S2第1話でデヴィッドが嘘をついているんじゃないかと思い探りを入れるも「あんたの心を読める」と言われて注文したアイスを置いて撤退したシーン好き。
S2第7話でひげの女性たちとだるまさんが転んだしてるシーンと、フクヤマ提督に向けた銃をデヴィッドの力でモップに換えられるシーン好き。

というか妙に殴られたり倒れてたイメージあるけど見返したら2回だけかも。
S1第8話ではファルークに乗っ取られているケリー(女性)に背後からステッキで不意打ちをかますも普通にテレキネシスで廊下の向こうまで叩きつけられてて、S2第9話でおかしくなってたメラニーに背後から殴られてた。
(S2第10話ではファルークに出合い頭に無力化されてるので殴られてはいないけど倒れてる。)

S1第8話の火傷シーンの直後に、夫と息子がいて幸せ家庭を築いている様子を出されるの「敵に情が入るから妙に困る……!」と思ってたけど普通にめちゃめちゃ仲間になるメインキャラクターでしたね。
好きだ……。

 

大火傷でボロボロになってた間も支え続けてくれた家族がいてとても良い。

しかしあの危険な職業で夫と職場同じなのやりづらすぎない?
S1第8話で上司から「夫に1時間やろう」って上司に圧かけられてる旦那さん見てこの職場嫌すぎるだろ……になった。
あと旦那さんが一回目の時に止めなかったらあの時点でクラークさん切り捨てられてたってことでしょ……嫌だな……。

あとS3で飛行船とか車とか両方とも危険な現場に出てて子供の世話が大変そうだな……にもなった。

S3に入ってから、第1話では旦那さんと手繋ぎながら痴話喧嘩してたり、第5話では通話で甘えてたりと仲良しを久々に出してきてたけど第5話の直後でデヴィッドが道路に出てきた瞬間に「これから落とす前振りだったろ!!!!絶対死ぬじゃん!!」って絶叫してしまった。

結局旦那さんは死ななかったけど愛した家庭の記憶失ってそもそも自分の名前すら覚えてない状態にされちゃったの悲しすぎになる。

クラークさんが知ったら悲しんじゃうじゃん……と思ってたら飛行船で無言で旦那さんと子供でピクニック行った時の動画を流し続けているし旦那さんの回想も挟まれてあ~~~~伝わるの早すぎもうめちゃくちゃすぎもうこんな仕事嫌すぎ~~~~になった。

片割れの記憶喪失ぐらいならやり直せる(愛と根気があれば失われた思い出を取り戻すことなど朝飯前なのだ)(創作物における偏った常識)けどクラークさんは最後まで旦那さんのこと回想しながら宇宙へ放り出されてしまったのでおしまいです。
お疲れさまでした……。

しかしデヴィッドを見て最後の一言が「初めて会ったときに殺すべきだった」なのは大喜びしました。
最後まで好き過ぎる。

 

シーズンの感想

 

シーズン1

ホラー感強めで好き過ぎる。
第3話を初めて見たとき動悸すごかったです。
私が欲しているもの、これ!!になった。

第6話もすごい好きで、S1はデヴィッドが自分自身と戦っているようなシーンが多くて好きなんですよね。
己との戦いが大好き。

あと破壊も多い。
私が欲しているもの、これ!!

 

シーズン2

人の恐怖や不安や疑念などそういうものがものすごい大好きなので当然大好き。
私は思考実験なども好きなのですが、私にS2が刺さったのはすごいわかる……。

「捻くれた教育番組」みたいな演出がずっと挟まれ続けるの本当に大好き。
「反偽薬効果」とかはもはやタイトル見た瞬間にはしゃいでしまった。

あとフクヤマ提督とかディビジョン3本部の様子が好き過ぎる。

 

シーズン3

私は「時間」を操作する物語が大好き!!
タイムパラドックスだったり時空のゆがみだったりは元々すごい好きなので……。

時間の廊下にいる悪魔との戦い大好き。

シドが過去のシドと抱き合うシーンも好きだし、レニーが未来の子供を看取って自分の人生を振り返ったことでデヴィットに手を貸さず自死を選んだのも好き。時の幻……。

 

わけわからないことがあってもわりとそのエピソードが終わるまでの間で説明シーンが入るのであまり不安もなくて良かった。(S3第1話は流石に少し不安になりました。)

あとレニーが出てくるとき、服装とかで雰囲気がガラッと変わってる感じ好きだった。
レニーが一番いろんな服着てたイメージある。
私はS1第6話のレニーとS3第3話のお茶会のレニーが好き。

 

S1第3話まで見たときにあまりにも面白過ぎて「3話の時点でこんなに面白いと途中から面白くなくなっちゃったらどうしよう……(自分の中で期待のハードルが上がってしまうかもしれないので)」と不安になっていたのですが全シーズン好きな要素ばかりで全部面白かったです。

『レギオン』のこと知れてよかった、感謝……。