冷凍庫のメモワール

アイスパリパリ委員会

『魔法にかけられて2』観た

内容話してます。好きな作品の続編って……本当に怖い!

 

結論として先に言うと、大好き!

ただ、『魔法にかけられて』が本当にめちゃめちゃ大好きなので、序盤は結構苦痛がある。

魔法にかけられて』(と『アナと雪の女王』)について過去に触れた日記があるから置いておくね……。
出会って即婚約に驚愕されるタイプのディズニー映画 - 冷凍庫のメモワール

 

中盤からは本当にかなり好き。

でも願いの杖を使ったジゼルが自分の役割を理解するシーンまでが結構な苦痛でした。
見終わった後にシークバー確認したらここまで大体45分くらいなんですけど、好きな作品の続編から45分間も苦痛を与えられたのに巻き返しで好きになれたのはすごいな、なんか。
映像としては最初から凄くて、映画館で観たいよな~って思った。

 

映画序盤について

序盤がきつかった理由は主に3つあるんですけど、先にそれだけ片づけたい……。

 

・前作でおとぎ話と現実の間を取ったような結末を迎えたはずのジゼルがおとぎ話一色みたいになっていること。

主に引っ越しソングのところ、モーガンの学校で突然歌いだすところです……。
前作だとジゼルにつられてか現代の一般人がみんな乗ってくれる素敵なシーンがありましたが、今作では周りがみんな「何だこの人……」みたいな反応なのもつらいしジゼルがそれに何とも思ってないのもつらい。

前作で現代ニューヨークに少しずつ順応していったはずなのに、今作で初対面のマルヴィーナ相手に故郷のエピソードを話して怪訝な顔されても何も気づかないところ……。
突然歌いだして周りから怪訝な顔されても何も気づかないところ……。

 

・なんとなく前作で思ってたことを否定されたように感じてしまった。

一個上の項目ともちょっと被ってますね。

細かいところを言うと、モーガンがジゼルから借りた服が笑われるのもきつかった。

そもそもモーガンが自分の好みではない服を着なければならなかった状況も嫌なんだけど、それは燃えたから仕方ないにして、お花畑に罪はないだろ……。

あんなにプリンセスやおとぎ話が好きだったモーガンの趣味が変わってしまったのも悲しいけど、まあそれは個人の変化なので……。
根本的には今もおとぎ話やプリンセス自体を嫌ってるわけではなさそうだし。

でもそれが尚更「おとぎ話のような言動を人前で繰り返す母親のせいで、周りから馬鹿にされたり恥ずかしい思いをしておとぎ話やプリンセスを素直に好きになれなくなった」ように感じるんですよね。

前作の最後で現実に馴染んだジゼルがアンダレーシアファッションを立ち上げたの、私は本当にすごい嬉しい終わり方だったんですよ……。

 

逆にジゼルの願いによってモンロービルがおとぎの国に変わってしまうシーンもきついのでここのミュージカルシーンもきついんですよね。
おとぎ話の押し付け!!

ここのミュージカルシーン観てる間ずっと「人権侵害!!! 常識改変!!! 常識改変!!!!」って叫んでた。
(ここは描写として私がきついと思っただけで、曲としては好きだし物語の展開としては本当にとてもかなりものすごく大好き。
ロバートやモーガンがあそこまで変わってしまったことで露骨にやりすぎてます! 感が出てるので。)

 

まあつまり人の趣味嗜好を馬鹿にしたりしないでくれ、押しつけをしないでくれ、それは悪い事だとしてくれってことなんですけど…………。
私もここは肝に銘じたいと思っているので……。

前作がおとぎ話を否定することなく、けれど人におとぎ話を押しつけることなくうまく現実との間をとった物語だったから好きだったので、ここでそんなぁ~ってなってました。

 

・電車通勤のことすごい悪く言うじゃん!!!!!!!!!!!!!

電車通勤がそんなに憎いか!?
いやもちろん憎いといえば憎いですけど!
憎いけど電車通勤や電車通学はこの世から無くせないだろ!! 少なくとも今はまだ!!
全員が地方で開業したりリモートワークの仕事が出来るわけじゃないし、通学なんかは尚更そうだし、現実との付き合い方の結末としてあまり……こう……。

なんかこう、私が言いたいことはつまり、『ソウルフル・ワールド』を観てください!!!! ってことです。

 

しかしロバートは電車通勤嫌なのに終始ジゼルの気持ちめちゃめちゃ尊重してくれてましたね。
「怒りたきゃ僕に怒れ 母親にそんな口をきくな!」とかは、そこまでジゼルを庇わなくても……とは思った。
ジゼルとモーガンに焦点を当てる以上はこういう描写になるのも理解できるけど、モーガンが捻くれたのも納得出来てしまう。

 

おとぎの世界モンローレーシア

好き!!!!!!!!!!!!!!!

何が好きって、『魔法にかけられて』でも基本的に昔々のコッテコテのおとぎ話のテンプレートをなぞって話が進行するのが好きだから……。

ジゼルがおとぎ話の世界を願ったことで、あの世界は「おとぎ話」になり、住人の自我はそれぞれの役割に押し込められてしまうんですよね。
あの世界は物語、住人はキャラクターでしかないんですよ……。

それが若干漏れ出てるモーガンの歌良かったです。

「なんで完璧な世界 毎日自分の役割をこなし 本当の私は誰にも見せない」とかはここに掛かってると思う。

 

物語の世界になったから、ジゼルは最初こそ自我を保っていたけれど、役割としては「継母」なので継母を演じなくてはならないんですよね。
ジゼルの役者さんの演じ分け、日本語吹き替えの演じ分けがとても良かったです!

そしてコンテストで優勝した学園の王子は本物の王子様になってしまうし、王子の母親は女王様なんですよ。
マルヴィーナはちょうど「町を仕切る女王」でもある。

 

ロバートが謎に「冒険者」なのは不思議なんだけど、正確には冒険者という役割じゃなくて「継母の旦那」あるいは「プリンセスの父親」という役割なんだろうな。
悲しい話なのですが、昔々のおとぎ話で出てくるような「継母の旦那」あるいは「プリンセスの父親」は、大体死んでるかあまり頼りにならないかなので……。
だからロバートは街で女の子を救うまでは役に立たない空回りばかりの男の役割をやるしかなかったんですよね。
ロバートが家の外でも情けない冒険者をやらされたのは気の毒ですが……。
(主人公がプリンセスの物語においては、家の外での父親の行動を追うことがあまり無いのに。)
まあ本人には夢オチなのでいっか。

女の子を助けて初めて魔法の一部が解けてるんですよ。
おそらくここも思い出の魔法なのかもね……。
自力で魔法を解いて役割から解放されたの、本当に凄いよ。

それ以降は自分からモーガンを探しに行くし、針を止めるし、ジゼルがおかしくなってるのを瞬時に理解して、自分の出来ることを探してるんですよね。
良かった。

 

あと現実では母親の過ぎた行動によってお互いに共感を覚えて距離が近づきそうだったモーガンとタイソンも、おとぎ話の世界では一目惚れから始まり舞踏会で踊るロマンス(未遂)になりますし。

「継母」のペットは「意地悪な猫」だし。
リスじゃ友達だもんね。

 

ヴィランズソングが最高!!!!!!!!

最近はコッテコテのヴィランズソングを浴びることが減ってて!!!!!!
コッテコテのヴィランズソングに飢えてるんです!!!!!
本当にありがとう!!!!

マルヴィーナもジゼルも別に本来ヴィランではないし、そもそも時代的にヴィランズソングってもう作りにくいのかなあとも思ってて。
でもおとぎ話の役割としてのヴィランなので、だからこそここまでコッテコテのヴィランズソング作れたんだなって思ってます。
ありがとう!!!!!!

あとアランメンケンさんが好き!!!!!!! アランメンケンさんの作る曲が本当に好き!!!!!!! 

 

おしまい

思い出の魔法でジゼルが自分を思い出したのすごく良かった……。
ジゼルは「継母というキャラクター」ではなくて、ちゃんとジゼルとして家族と過ごした時間があるんですよね。

マルヴィーナだってヴィランではないし。
ちょっとやりすぎることもある普通の人だし、そもそも会ったばかりの人だしご近所付き合いだってまだ始まってもいなかったし。
ジゼルの願い事が意図しない形で叶ってしまっただけなんですよね。

 

モーガンがアンダレーシアでナンシーと話すシーンも良かった。
前半のシーンでナンシーがめちゃめちゃアンダレーシアに染まりまくってるじゃん……になったけど、逆にアンダレーシアにいるときは元のナンシーって感じもあり、良かった。

 

モーガン「家に帰りたい ママと一緒に」で戻るのがモンロービルの生活なのも良かった、良かったと言い切るのは気が引けるところもあるけど。

なんだかんだで完全にジゼルのわがままで引っ越すはめになった感はあったので、あの願いじゃニューヨークの頃に戻る可能性もあったと思うんだよね。
それでも家族と暮らす新しい場所を「自分の家」と認識出来るの良い子だよ。
モーガン新しい生活の中で、家でも学校でも、たくさん楽しい思い出作ってね……。

 

というかモーガン「私の娘だもの」って言ってもらえたの良かった!!!
序盤で「本物のアンダレーシアの娘」を連呼してるとき私も本当に辛かったのでよかった!!

やはりハッピーエンドの鍵は愛!!!
世界を救うのは真実の愛!!!
私が好きなおとぎ話、これ。

まあ前半でもやもやしたところは特に全く解決はしなかったのですが、かつてのおとぎ話の形式にツッコミながらも愛で救うおとぎ話をやってくれるところは『魔法にかけられて』だなって思います。
だから好き。

ロバートとジゼル、ナンシーとエドワードの夫婦仲がずっと良好そうなのも良かったです。